私がまだ幼い頃、当店は主に市場をお客様とした卸売り専門の干物屋でした。
地元のスーパーには置いてもらえていなかった為、お客様は東京や千葉など遠距離の卸売市場。
当時は個人のお客様を相手に小売りすることはほとんどありません。
当店があることを知らせる看板などもありませんでした。
加工場も路面より離れていた為、当店の場所を知らないと言われることが多々ありました。
同業者からも何度かおなじ事を言われるくらい分かりづらかったようです。
そんな当店にここ数年、干物を買いに来てくださる個人のお客様が年々増加しています。
今では小さな看板を設置しましたが、相変わらず場所は分かりづらいままです。
はじめましてのお客様との会話は、
お客様:「いやー、わからなくて何度か通り過ぎました」
店主:「申し訳ございません、ご足労をおかけいたしました」
という流れで始まります。
そんな思いをして当店へ足を運んでくれるお客様へ申し訳ないという思いと共に、有難い気持ちでいっぱいになります。
以前であれば、地元のみならず日本有数の水揚げを誇る銚子港が近い為、
『魚は買うものではなく貰うもの!』
自分の親たちが、そう言う言葉を口にするのをよく耳にしました。
私自身も学校からの帰り道で道端に大量に落ちている魚をよく目にしたものです。
そのような記憶があり、それが当たり前の環境でしたので、まさか地元のお客様が足を運んでくださる日が来るとは思ってもいませんでした。
では、なぜ当時看板もなく誰も知らない当店にお客様が足を運ぶようになったのか?
あるスーパーで試食販売を行った際に起きた出来事が、私にとっての大きな転機となりました。
新商品やキャンペーンなどの最新情報をお届けいたします。